第6集

情報提供室

このページは糖尿病である私の体験から得た医療に対する教訓と、現代医学が持つ
問題点を摘出すると共に、新しい医療情報を適切に提供するこを主旨としております。

情報 第6集(No51~No60) 目次

No51: 深部静脈血栓症とはどのような病気か!?
No52: 未破裂脳動脈瘤クリッピング手術の調査!?
No53: 幹細胞を直接注入血管再生で心筋梗塞に世界初!?
No54: 劇症1型糖尿病の発症メカニズム!?
No55: 診療報酬/患者の視点が欠けている !?
No56: なぜ使われない? 後発医薬品 !?
No57: 塩分取り過ぎ「胃ガン」倍増 !?
No58: 新薬開発で製薬会社と協力がんセンター !?
No59: 診療報酬改定:小児・精神医療に手厚く! !?
No60: 脳卒中治療ガイドライン2004!?

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2004/02/02(月)No51: 深部静脈血栓症とはどのような病気か!?

静脈血栓症は血栓性静脈炎とも言われ、多くは二次的に静脈壁に炎症所見を伴います。静脈血栓症は全身の表在性や深部のどの静脈にも起こりえますが、下腿静脈、大腿静脈、骨盤内深在静脈などの深部静脈血栓症は頻度も多く、致命的となりうる肺塞栓を生じる可能性があり臨床的に重要です。

欧米ほど高頻度ではありませんが、日本でも増加の傾向にあります。男性よりも女性にやや多く、40代後半から50代に起きやすいとされています。最近では長時間の飛行機搭乗によるエコノミークラス症候群、あるいは旅行者血栓症としても注目を集めています。


深部静脈血栓症の危険因子

深部静脈血栓症の危険因子として、米国心臓協会では以下の項目をあげています。
1, 60歳以上の高齢者
2, 広範な手術(年齢、静脈瘤、肥満、手術時間で術後のリスクは増す)
3, 静脈血栓の既往症
4, 術前術後の長期臥床 後整形外科の大手術(股関節手術や膝の大手術)
5, 骨盤、大腿骨、脛骨骨折
6, 悪性腫瘍の手術
7, 重症の内科系疾患(心不全、炎症性腸疾患、敗血症、心筋梗塞など)
これらに該当する場合には危険度に応じた積極的予防策が必要です。


深部静脈血栓症の症状

急性期には静脈の血栓性閉塞による循環不全と血栓の飛遊による肺塞栓をおこし重篤になることもあります。静脈閉塞では動脈閉塞と異なり皮膚の表面の体温は低下せず、皮膚は紫色か赤色になり、静脈高血圧のために水分の移動がおこり、著明なむくみ(浮腫)が生じます。

後遺症としては血栓後症候群といって、静脈高血圧のため皮膚の表在静脈に瘤(静脈瘤)が出来たり、栄養不足のために色素が沈着したり、皮膚炎や湿疹を起こしやすくなったり、治りにくい潰瘍が出来たりすることもあります。


深部静脈血栓症の診断と検査

表在性静脈血栓症などのまぎらわしい病気と区別するため、静脈造影、超音波検査、MRA(核磁気共鳴検査)、血流シンチなどを行い血栓による静脈閉塞を診断します。また原因となる血液凝固異常の有無や、血栓を生じたことを確認する血液検査もおこなわれます。


深部静脈血栓症の治療

深部静脈血栓症治療のゴールは、急性期の浮腫、疼痛などの局所症状の軽減、肺塞栓症の予防および静脈炎後遺症の予防の3点です。急性期では浮腫や疼痛が軽減するまで安静を保ち、疼痛に対しては非ステロイド抗炎症薬の投与をおこないます。また以下の抗凝固療法を基本とし、必要に応じて血栓溶解療法を追加します。
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2004/02/08(日)No52: 未破裂脳動脈瘤クリッピング手術の調査!?

――9病院が3項目すべてA評価

脳動脈瘤(りゅう)と呼ばれる脳の血管にできたこぶをクリップで留め「くも膜下出血」を予防する手術について、日本経済新聞社が全国の200床以上の病院を対象に症例数、治療成績(合併症率)、平均入院日数を尋ね、それぞれ上位からA、B、Cの3段階で評価したところ、国立循環器病センター(大阪府池田市)、国立病院横浜医療センター(横浜市)、慶応大学病院(東京都新宿区)など9病院が3項目ですべてA評価となった。

>>「胃がん手術」調査へ
>>「心臓バイパス手術」調査へ

症例数のトップは3年間で410例の富永病院(大阪市)。手足のまひなどの重い後遺症が出る合併症率は、国立病院横浜医療センターが百例を超す施設で唯一ゼロだった。入院日数の最短は日鋼記念病院(北海道室蘭市)の10日。症例数が3年間で百例以上の施設は12病院だけ。50例以上を含めても28病院しかなく、症例が多くの病院に分散する日本の医療構造が浮き彫りになった。

一般に症例数が多いほど医師の技量が上がり、治療成績が向上するといわれるが、今回の調査では症例数と合併症率の相関関係は確認できなかった。専門医は「症例数が多い病院に難しい症例が集まり、合併症率を押し上げる傾向があるためではないか」と見ている。重症例の目安とされるこぶの大きさが「10ミリ以上」の症例の比率が高いほど、治療成績が下がるという相関も見られなかった。

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2004/02/15(日)No53: 幹細胞を直接注入血管再生で心筋梗塞に世界初!?

京都府立医科大(京都市)は十四日、患者の血液から血管のもとになる幹細胞を取り出し直接注入して、患部の血管を再生する手術を、急性心筋梗塞(こうそく)の四十六歳の男性患者に実施したと発表した。同大によると、急性心筋梗塞の治療で血液中の幹細胞を培養して注入する方法はドイツなどで行われているが、取り出した細胞を直接注入するのは世界初。

男性は府内在住。十三日午前十時ごろ、仕事中に急性心筋梗塞を発症、府内の別の病院で血管の詰まった部分に空気を送り込んで膨らませる手術を受けた。しかし、心臓収縮機能が低下。突然死の可能性があったため血管再生が必要と判断され、十四日午前、府立医大に搬送された。

同大は、患者の大腿(たい)部の血液から血管のもとになる幹細胞を抽出。これを約一時間二十分かけて、カテーテルで大腿部の動脈を通じ患部の左冠動脈に注入した。患者の容体は安定しているという。培養法は専用の高価な設備が必要な上、雑菌が混入する可能性がある。また、培養に一週間程度かかるため、緊急の患者には適用できないという。
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2004/02/22(日)No54: 劇症1型糖尿病の発症メカニズム!?

 1型糖尿病は、「発症様式」からは、現在は、下記の3つの病型に分類できます。一方、「成因」の面からは、1)と2)は「自己免疫性」で、3)は「特発性」=原因不明)となります。

1) 急性発症型
2) 緩徐進行型(Slowly Progressive IDDM)
3) 劇症型

1)は従来は、まったく正常な患者が急激に発症すると考えられていたのですが、さまざまな研究から、現在では、数年かけて、徐々にβ細胞(インスリン分泌細 胞)が減っていき、残存β細胞が約10%以下となった時点で、初めて、口渇、多 飲、多尿等の症状を呈する、と考えられています。

 従って、発症時のHbA1c は、通常は著明な高値をとります。また、発症時の膵内分泌能(血中・尿中CPR)は、少しは残存しており、通常は、1~数年位で徐々に枯渇していきます。一方、3)の劇症型は、発症時からほぼ完全に枯渇してしまいます。同時期に全国集計された報告では、劇症型(161例)の発症時のHbA1c平均値は6.4%、一方、急性発症型(137例)の発症時のHbA1c平均値は12.2%でした。

 つまり、2000年以前は、私も含め、どの糖尿病専門医たちも、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)で緊急入院した1型の患者さんを「典型的な急性発症型だろ う、けれども、何故か、自己抗体は陰性だなあ・・・?、膵酵素も何故か上昇しているなあ・?なんでだろう・・・?」と思っていたのです。

 そのような患者群(急性発症型の約10~ 20%)を、「劇症型」という「新しいサブタイプ」として、今川・花房らが2000年に初めて提唱し、広く認知された(少なくとも日本では認知されました)というのが、現在までの経緯です。

 以下、「急性発症型」と「劇症型」、それぞれの特徴です。      
                 
                 急性発症型     劇症型

診断までの有症状期間        数週間       数日
発症時のHbA1c    著明上昇     正常~軽度上昇
発症時の膵外分泌酵素の上昇     なし          あり
発症時の尿中CPR   10μg/日以上 10μg/日以下
発症時のアシドーシス       -または+      必発
膵自己抗体            +ときに-       -
発症後の血糖コントロール     比較的容易      困難

劇症1型糖尿病では、通常の強化インスリン療法では、良好な血糖コントロールがかなり困難ですので、CSIIや、「ランタス+超速効型インスリン」、が望ましいと思います。

※ー血糖値測定に新装置開発ー※

日立製作所は在宅医療支援事業に参入する。第一弾として糖尿病患者が採血をしなくても自分で血糖値を測定できる装置を開発、2005年にも医療機器として発売する。新装置を核に、健康・治療情報の管理サービスなどを手がける。今後市場が拡大する在宅医療関連で、2007年には150億円の売り上げを目指す。

日立が開発したのは、指先を置くだけで血液中の血糖値が測定できる装置。温度や光を測定する複合センサーを使い、血液中のヘモグロビンの状態や血流量、熱エネルギーなどを計測、血糖値をはじき出す。指先を置いてから4分程度で測定結果が出る。
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2004/02/29(日)No55: 診療報酬/患者の視点が欠けている !? 

診療報酬は医療機関などに対して医療保険から支払われる公定価格で、二年に一度見直される。その内容によって、総医療費や医療機関の収入、患者負担も変わる。
昨年末に、薬価部分を引き下げ、本体部分は据え置くことで、全体で1%引き下げる方針が決まっていた。これを受け、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)が、個々の診療項目ごとの単価を答申した。四月から実施される。

改定のポイントはいくつかあるが、まず小児医療対策だ。時間外の初診料、再診療の引き上げのほか、夜間・休日を診療時間内とする病院にも時間外加算を認めることなどが盛り込まれた。 少子化の影響で、小児科は採算が取れず閉鎖、縮小する医療機関が増えている。とくに小児救急医療は、育児不安の広がりや共働き家庭の増加などでニーズが高いにもかかわらず、専門医が不足し、整備が追いついていない。改定を小児救急医療の体制整備につなげていきたい。

 二つ目は、病気や治療の種類ごとに入院費を定額にする「包括払い制度」の対象病院の拡大だ。前回の改定で、大学病院など八十二病院に導入された。今回、二年間の試行期間との位置付けで、希望する民間病院は導入できることになった。包括払い制は、検査や投薬の回数などに応じて診療報酬が支払われる「出来高払い」に比べ、医療費を抑制する効果があるとされる。

一方で、検査や投薬を減らしても定額の報酬が支払われるため「手抜き診療」を招くとの指摘もあり、今回は一部の民間病院への拡大にとどまった。 包括払いが効果を上げるには、科学的な根拠に基づいた治療基準を確立することが必要になる。医療機関の質の評価もいる。そうしたシステムを早急に整え、もっと広げてほしい。

三つ目には、難度の高い手術件数の基準を満たし、公開すれば報酬を加算するという点だ。前回改定で件数を満たさなければ減額したが、医師の経験年数が基準を満たせば、減額しないことにした。こうした情報開示が進めば、患者が病院を選択しやすくなり、医療への信頼にもつながる。

昨年、政府が決めた医療制度改革の基本方針は、診療報酬体系について、情報提供の推進や患者による選択を重視した見直しを挙げた。だが、今回の改定は、その点ではまだ不十分な点が残っている。部分的な改定の繰り返しではなく、患者の視点に立った抜本的な見直しが欠かせない
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2004/03/01(月)No56: なぜ使われない? 後発医薬品 !? 

◆成分同じで 2割は安いのに
薬の成分は同じでも、価格は安い医薬品がある。新薬の特許が切れた後に登場する「後発医薬品」と呼ばれる薬だ。医療費負担を軽くする一助として注目されている。

高血圧や脳こうそくなどの持病がある長崎市の70歳代の男性Aさん。近くの診療所に月に2回通い、血圧の薬、血を固まりにくくする薬、のどの薬、胃薬と、腰痛の張り薬の計5種類を処方されている。

すべて後発医薬品で、1か月の薬代は、4430円(高齢者の自己負担はその1割)。「先発品だったら全部で1万3440円で、約3倍の薬剤費がかかる計算になります」と診療所院長は説明する。

院長は3年前から後発医薬品を積極的に使い始めた。「患者の経済的負担を考えてのこと。今では、よく使う薬の8割方で後発品を処方している」と言う。

■国内では11%
医療費抑制のため、国は2002年4月から、後発医薬品を含む処方せん料や薬局での調剤料を高くし、安い後発品の使用を促している。昨年、保険の自己負担が3割に増えたことや、広く使われている高脂血症の薬の特許が切れ、一挙に二十数社以上から後発品が出たことなども、脚光を浴びるきっかけになった。

しかし、全国的には後発医薬品の使用割合は低い。メーカーで作る医薬工業協議会の調べでは、アメリカでは医療機関で処方される薬の42%、イギリスでは49%を占めるのに比べ、日本では11%にすぎない。患者が安い後発医薬品を使いたくても、医療機関内の薬局で薬が出される場合は、選択肢がない。

■成分名で処方を
薬には、成分名と、メーカーごとに異なる商品名がある。医療機関で処方せんをもらって外の薬局で薬を買う場合には、後発医薬品の商品名が分からなくても、医師に相談して薬の成分名で処方せんを書いてもらう方法がある。薬局にその成分の後発医薬品が置いてあれば、希望して出してもらうことは可能だ。成分名処方を進めている医師会も一部にある。

ただ、「医師は普通、商品名で薬を呼び、成分名を覚えていないことの方が多い」と本田さん。「先発品名の処方でも、患者の希望で後発品を選べるような仕組みに変えるほうが現実的ではないか」と話す。

◆医師 「信頼持てない」 「抵抗感」 品質評価進める国
後発医薬品の普及が進まない背景には、「安かろう悪かろう」というイメージが医師に根強いことがある。

全国保険医団体連合会が昨年、医師2000人に行ったアンケートでは、後発品を使用しない理由として、「薬の効果に信頼が持てない」(44%)をトップに、「副作用や安全性の心配」(3%)、「なんとなく抵抗感がある」(24%)などが挙がった。

後発品は、かつては動物実験データで認可されていたが、1980年からは人での血中濃度を測る試験が必要になった。さらに国は97年、すでに認可されている薬について、服用後に薬の成分が規定通り溶け出すかを調べる品質再評価を開始。

結果は「医療用医薬品品質情報集」(通称・日本版オレンジブック)に掲載され、品質のよりどころとされている。約40社の後発品メーカーが加盟する医薬工業協議会は「こうした試験で品質は担保されている。ただ後発品メーカーは100から150社あり、信頼性は各社の問題」と話す。

《後発医薬品》
医療機関で処方される薬のうち、「先発品」と呼ばれる新薬の特許が切れた後に、臨床試験などを省略して認可される同じ成分の薬。一つの先発品に対し、数十種の後発品が出る場合もある。新薬開発の費用がかからないことから、価格は先発品の8割以下と定められている。「ジェネリック医薬品」とも呼ばれる。
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2004/03/02(火)No57: 塩分取り過ぎ「胃ガン」倍増 !? 

塩分の多い食事をとる男性は塩分控え目の食事をとる男性の約2倍
も「胃ガン」になり易いー。厚生労働省ガン研究センターが、このような研究結果を纏め、イギリスのガン専門誌に発表しました。

生活習慣病とガンの関連を調べるため、40~59才の男女約40万人を11年間追跡して分かったことで。塩分摂取量が多いと胃ガンになり易いと言う関連は、これ迄も指摘されていたが、大規模調査でこれを確認しました。

研究班は塩分摂取量に応じて5グループに分けて分析。男性では摂取量最多グループは、最小グループの約3倍の1日平均9.9gを摂取、両グループを比べると最多摂取グループは2.2倍の胃ガンになり易かった。

女性は胃ガンになった人は少なく、こうした細かなグループ分けでは明確な差はなかった。そこでタラコや塩辛などの塩分の多い、海産加工食品の摂取度で分析すると、これらの食品を毎日食べる人は、殆ど食べない人に比べ男女とも、2倍程胃ガンになり易いことが分かった。

研究班では「胃ガン予防には高塩分濃度の食品は控えることが重要。高血圧や脳卒中・心筋梗塞の予防にもなるので、薄味の食事に慣れることが必要」と提言しております。
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2004/03/03(水)No58: 新薬開発で製薬会社と協力がんセンター !?

がんの治療・研究の中心である国立がんセンター(東京)が、製薬会社と協力して新薬開発に乗り出す。発がんメカニズムを分子レベルで解明し、製薬会社が、それを食い止める化学物質を探す。すでに急性白血病について複数社に打診しており、実現すれば、新薬開発の初期段階からセンターと製薬会社が協力する初のケースとなる。

がん化に関係した体内の特定分子をねらう「分子標的薬」は、がん細胞を効率的に攻撃し、副作用も少ないとして、各国の研究機関や製薬会社が開発を競っている。 急性白血病では、AML1という遺伝子が異常になると、血球細胞が正常に形成されず、白血球細胞が病的に増殖することを同センターが解明。これが急性白血病の原因の半ばを占める。

これらの分子にだけ結びつく物質を、製薬会社が数万~数十万単位で持つ新薬候補物質の中から見つけることを目指す。 急性白血病の治療法は抗がん剤や骨髄移植だが、強い副作用や、事前に放射線などで自分の骨髄を破壊しなければならないなど、患者の負担は大きい。同センターは「2、3年以内に分子標的薬の開発にめどをつけたい」と話す。

又、日本化薬は新たながんの治療法を開発するため名古屋大教授らと共同で新会社を設立する。同大学との共同研究をもとに、がん細胞への攻撃力が高く副作用も少ない治療法を2010年をメドに実用化する計画。医薬事業の中核であるがん領域を強化する。。新会社は「ヒートイムノセラピー」と呼ぶ新治療法を開発する。直径100ナノ(ナノは10億分の一)メートルほどの微粒子を患部に注入して磁力をあてると、微粒子が発熱してがん細胞の活動を止める。
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2004/03/04(木)No59: 診療報酬改定:小児・精神医療に手厚く! !?

厚生労働省は2月に2004年度の診療報酬改定案をまとめた。肺がん手術など約百種類の難度の高い手術について、病院が一定の実施数などの条件を満たせば報酬を加算。一方で件数を公表しない場合は報酬を減額する仕組みを導入する。経験数が多ければ質も高まるとの判断だ。初診料の6年ぶりの引き上げや、医師不足が深刻な小児科の報酬上げなども実施する。

改定案は2月中旬、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に諮問。診療報酬は診療行為の一つ一つに定めている公定価格で、医師の技術料である報酬本体と薬剤や医療材料費に大きく分かれる。政府は来年度の報酬本体は総額で前年度と同額に据え置くことを決めているが、薬や材料費を引き下げて総額としては1%の下げになる。

診察や検査など診療報酬本体の総額は変えないが、小児医療や精神医療の充実のため各種の加算措置などを拡大、病気の種類や重さによって入院治療費を定額制にする「包括払い」の病院を増やす。新技術への保険適用を含む引き上げ全体は約700億円で、主に検査材料代の引き下げなどで賄う。実施は4月1日。

診療報酬は公的医療保険から支払われる医療費の単価で、本体と薬価で構成される。昨年末の04年度予算案の編成過程で、本体の伸びはプラスマイナスゼロ、薬価は1%の削減が決まっていた。診療費の原則3割が患者の自己負担で、個々の診療報酬の引き上げ分についてもその3割が新たな自己負担になる。

報酬を引き上げる主な項目のうち、専門医の不足が問題となっている小児医療では、6歳未満の子どもを時間外に診療する場合、報酬加算額を拡大。初診で現行の1020円が1150円に、再診で570円が700円になる。小児科の看板を掲げる医療機関に対しては、もともと夜間・休日を診療時間にしていても新たに時間外加算(850~4800円)を認める。

精神医療では、閉鎖病棟や保護室などによる患者の行動制限を、最小にする委会を設けている場合、強制入院の患者1人につき3000円の報酬を新設したり、訪問による看護や指導への報酬を引き上げたりして、医療態勢の充実や在宅医療の促進を目指す。

医療費の包括払い制は、前回の02年度改定で大学の付属病院など82医療機関の入院治療に導入。今回は、民間医療法人も含む92病院を新たに候補に加え、入院期間を短期間にした場合に報酬を加算するなどの誘導策を2年間試行的に実施。制度の浸透を図る。
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2004/03/05(金)No60: 脳卒中治療ガイドライン2004!?

脳卒中治療ガイドライン2004

日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本神経治療学会、日本リハビリテーション学会の5学会と厚生労働省の脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の3研究班の合同委員会によるガイドライン

1 脳卒中一般
2 脳梗塞
3 脳出血
4 クモ膜下出血
5 リハビリテーション
付録
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